東京湾岸エリアの資産性②~デベロッパーの性質~

湾岸エリアの資産性を「冷静に」見ていくために、そもそもマンションデベロッパーの生き方について理解する必要があります。
マンションデベロッパーの仕事は、オフィスビル、商業施設、マンション、ホテル、物流施設などの用地取得から開発、運営までを手がけ、その販売利益や運営利益を飯の種にしている事業者です。
その全ての源泉は「用地」です。用地がなければ何もできません。今まで築いた資産の利益を享受しているだけでは、安定はすれど拡大はできません。
オフィスビル事業については、三菱地所の丸の内エリアのように、一体の開発で築いた資産(丸の内であれば基本的にオフィスビル)を定期的に刷新、維持向上していけば安定的かつ莫大な利益を生むことができますが、ことマンション事業においては、基本的には用地取得した地にマンションを建てて分譲したら、あとは系列の管理会社が得る管理費収入のみが継続的に得られる収入です。

マンション事業には、常に新しい土地が必要なのです。

今現在デベロッパーが直面している問題はまさにこの点です。昔からの由緒ある住宅用地は既に開発済みで、一部の老朽マンションが容積率緩和の後押しを受けて都心タワマンに進化する事例を除いて事業の種は存在しません。
一方で事業拡大を目指す営利企業として、デベロッパー各社が開発を手がけているのが「元々は海でその後は倉庫街としての利用価値しか無かった」埋立地湾岸エリアなのです。
もちろん、デベロッパー各社も「もともと使えない、見向きもされなかった土地」にマンションを建てて売ろうとすれば、それなりに努力しますし、街づくりのノウハウもあるわけで、湾岸エリアのメリットとしてあげられる「整備された緑地、運河、開放感重視の都市計画」を推進していますが、これは後述するニュータウンの末路と大量供給の悲劇にかき消されます。
湾岸エリアの資産性向上、湾岸エリアの躍進はデベロッパーの開発で盛り上がり、デベロッパーの欲でかき消されることになりかねません。

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