原油先物取引が史上初のマイナス価格。買う側なのに400万円受領?

WTI原油先物が史上初の「マイナス価格」をつけました。
なかなか面白いことが起こっています。

WTI原油先物が取引中にマイナス40ドル付近まで下落。
これは、先物を1000バレル買って取引の終了となると、1000バレルの原油に加えて現金も約400万円受け取るような状態です。
原油を買っている側が、お金を受け取るわけです。

莫大な保管料

じゃあこの取引は買いなのかというとそう甘くはなくて、
原油を引き取ったら当然にその莫大な原油の保管が必要になるわけです。
この保管料がまさに今回のマイナス価格の要因で、現在WTI原油先物の原商品である米国内陸部の原油は貯蔵量が限界を迎えており、
追加的な保管をする際のコストが莫大なものになっています。

ざっくりいうと、400万を受け取って得た原油の保管料が月8000万とかになるわけです。

原油先物って結局何を取引しているのか

ちなみに、上述した「米国内陸部の原油」に違和感を覚えた人もいるのではないでしょうか。
原油だ石油だって、主に中東地域を思い浮かべる方も多いと思います。

実は原油先物で今回話題になっているWTI原油先物は、上記のとおり米国内陸部の原油を対象としています。
もっと言うと、「ニューヨーク・マーカンタイル取引所(NYMEX)に上場するWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)で期近の5月限」です。
まあ詳細は割愛しますが、対象とする商品は米国の原油なんですよ。

なお、主な原油先物にはもう一種類ありまして、それが北海ブレントです。
こちらは、イギリスとノルウェーの北海にある 4 つの油田からの原油生産に基づく先物です。

上記の原油は生産場所も性質も異なりますが、今回の話題となっているマイナス価格に直接的な影響を及ぼしているのは、
その貯蔵方式についてです。
WTI原油の受け渡し場所(保管場所)は、米オクラホマ州クッシングの原油貯蔵施設で、内陸部にあります。
貯蔵量の限界を迎えると、保管場所に持っていく前に破棄、となります。
一方、北海ブレントは海上生産されているものなので、貯蔵がまずいとなった場合には応急的にタンカーを持ってきてぶちこむことができるため、機動的に一時保管ができます。

実際、マイナス価格をつけているのはWTI原油の5月物(5月に受渡が確定してしまうもの)だけ。

なお、皆さんのイメージする中東の原油については、プラッツ・ドバイといった相場価格が存在します。
朝の時間でものすごくさらりと書きましたが、適宜情報アップデートしようと思います。

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