残債利回りという概念で不動産価値を捉える

残債利回りという概念を理解すれば、「金融機関はなんもわかってない」とも思わなくなる。

通常、長期融資を目線とする金融機関に短期軸は無いからね。築古はリスク取って高利回りを享受し、キャッシュ化のスピードを高めてるだけ。
築古に融資しない銀行(耐用年数をしっかり見る銀行)はそこの「投資家目線のメリット」を見てない。築古に融資する銀行も素直に貸出利率を追ってるだけで、こちらも「投資家目線のメリット」に理解を示しているわけではない。
築古高利回りが不動産投資のセオリーと勘違いされて久しい。

「不動産投資をすべき人」を考える

次の物件に向かえるだけのキャッシュが別口(給与や副業、既存資産)で存在するなら、わざわざ築古に向かう意味がかなり薄れる。
(築浅が今の市況だと圧倒的に優位ということ。)

もちろんリタイアか破産の狭間で資産構築の最速を目指すなど、目的感次第ではあるけど。「目的」と「自身の状況」と「投資選択」の整合性が取れてない人がままいる。

築浅の優位性は一言で言うと以下の例に尽きる。
築30年で12%が相場なエリアの新築を、7%で35年フルローンで買うとする。一般的な融資条件を仮定し、買った新築が築30年になったときの残債ベースの利回りは約28%(家賃下落込)。
つまり、新築時からの残債利回りとの比較において、築30年で利回り28%の物件が出ているならそれは投資適格かもしれないが、上記の例のように、平気で「新築に少し利回りを乗せた程度での売出し」というのが実際の築古市況感。

これは、築古投資家からすれば「時間の概念に対するコスト」という理解ができる。投資家に取っては多少古くても今すぐに利回り12%を得られる話で、それなりに意味を持つ。
しかしこの点は金融機関に取ってはどうでもいい点で、金融機関が耐用年数に厳しい理由が説明できる。
というわけで、キャッシュフローを別口(給与や副業、既存資産)で持ってる人が築古行く意味は薄れる。
確実に築浅を持ち続けることの方が安全だから。

もっと意味を補足すると、結局初心者エンドは相当な労力をかけない限り、
いわゆる「本当の高利回り(上記で言うエリア平均12%エリアで新築の残債利回りベース28%を超えるような物件)」なんて手にできないわけで、
好立地築浅利回り低めで「回す」ことができれば、将来的に地主化してるわけです。子供だ孫だの2代3代とかの目線を持つとこの差は顕著。

なお残債利回りの概念は、先程の「築古の騙し」をあぶり出すだけでなく、逆に「築浅の騙し」をあぶり出すこともできる。
築10年10%のエリアで新築7%が出ていたとしよう。

この新築の10年後の残債利回りは一般的融資条件で8%少々。やや乱暴だけど単純に言えば「新築側が投資不適格」である。
(だって、そのエリアの築10年モノを買う方が時系列平準化後の投資商品として優位なのだから。)

世の中うまくできてるんです。
築古高利回りはキャッシュを溜め込むために相応のリスクを取る行為。
早く、大きくキャッシュを得るために相応のリスクを取っている。

利回りを追って取るリスクには、築古の他にもエリアとして不人気の場所を選定するといった場合もあります。
その逆である「築浅都心立地低利回り」が、「本来的に不動産投資をすべき人」が取る「王道」なんです。
低利回りでも3割頭金を入れれば相当なCFになりますし、BSも良好で次の借り入れにつながる。
富めるものがますます富んでいくのが不動産投資であり、富からかけ離れた状態であるほど不動産投資は難しい。
結構わかりやすい世界です。
(以下で記載のとおり、「築浅都心投資ができない人は不動産投資をすべきでない」と言っているわけではないことにご注意ください。
邪道が合う人もいますし、王道がどの観点から見ても善で邪道がどの観点から見ても悪ということを言っているのではありません。)

ここのニュアンスは伝わりづらいですが、昨今の融資情勢を踏まえても、
「不動産投資をすべき人」はどんどん減っています。
要するに継続的にレバレッジかけられる、融資をまともな金利と期間で引ける人は減っているんです。

築古戸建てを激安取得して、一生懸命リフォームして回していくという、
融資を引けない人が実施する不動産投資法は、投資法として否定しませんし、
「実現できれば再現性はある」と思っています。(忘れるまで忘れません、死ぬまで死にませんみたいな表現ですが…)

ここで問題にしているのは、比較優位性です。
上記の築古戸建て投資のような、レバレッジをかけず多大な労力で進めていく不動産投資って、
金融投資とどう優位性があるか、自身の性格や状況をよく考えて投資に向かわないと、「思ってたのと違う状況」になりかねないなあと感じています。

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