MMTって期待形成の観点が必須なのでは

MMT(現代貨幣理論)をベースに国債引受について書きなぐるにてMMTの概要をなぐり書きしたわけですが、
MMT支持者として界隈で支持を集めていた政治家の一人が麻生太郎先生(現財務大臣)です。
その麻生氏、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、国民への10万円給付を再度実施するか問われた際に「給付は考えていない。後世に借金を増やすのか」と発言。
かつての主張から180度転換した発言を受け、界隈からは「裏切り」、「財務省に取り込まれた」などと批判が相次いでいます。
わかりやすい動画がこちら。

まあ界隈(MMTを正しいと考える人達)からすれば言いたいこともよく分かるのですが、
この麻生氏の発言を額面通りに考えてしまうのはいささか浅薄にも思えます。
考えてみましょう。もしこの場で麻生氏が従来の主張通り「今この大変なときにガンガン国債刷って国民を救います。財政破綻なんてありえないので。」なんて言ったらどうなるか。
日本国債に「仕掛ける」ファンド続出でしょうね。金利水準がどうなるか知ったこっちゃありません。

今現在ですでに実質MMT実験的な状況ではあって、当局がそれをコミットすることこそ危険というなかなか難しい代物なんだろうなという知見なんですよ。
経済学が純粋科学ではないのは当然で、期待形成のお話でもあるから、そんなことしたらMMT勢が避けたい悪性の金利上昇の可能性出てきちゃうと。

MMTというものの危うさはここにあるんだろうね。
急先鋒の三橋さんとか中野さんあたりが実際に大臣やったら、それはそれでやべーことになりそうなのはこのあたりか。
「実質的にMMT」状態の保持が重要であるという点は、持っておかなければならない知見だと思いますね。

国債金利の見通しを得るためのざっくり視点としては以下。
・日銀による資産買入の動向
・国債の国内消化率×円の為替動向(経常収支面で見た長期的な円の強さ)
・家計、企業、政府、海外各部門の貯蓄投資バランス面
・他国の国債金利情勢(特に米国、英国)
・スタグフレーション的動き(資源価格注視)

あとは履歴性の観点として、ひとたびMMTの主張する物価上昇率の構造的なプラ転が起きた場合、
「起きてからでは遅い」状態になりかねないということ。
この点は引き続き考察を要する。

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