マンション供給が過剰となったエリアの末路

マンション選びに「資産性」の観点が持ち出されて久しいですが、不動産の資産性を一言で言うと「立地」です。
聞き飽きてますよね。でも皆さん、本当に立地の良いところを選べているでしょうか。

「立地が良いとはどういうことか」。答えの1つに、「今後の開発が見込めること」があります。
ただし、エリアの魅力をはかるのはそう単純なことではなく、開発の方向(質)と開発量(量)の軸で捉えるべきです。

デベロッパーの欲を思考停止で受け入れた消費者の末路

武蔵小杉は今や首都圏のマンション検討者であれば誰でも知っている有名な街になりました。
元々多くの鉄道路線が乗り入れており、都心の主要駅に乗換なしの1本で直通する利便性に注目が集まり、タワーマンション開発ラッシュとそれに伴う宣伝で有名になりましたね。
現在もタワマン建設が続き、人気も継続していますが、少し前から弊害も指摘されています。

「快適性」の極端な下落です。
今や武蔵小杉は地獄通勤の代名詞。ラッシュ時でなくてもホームは人で溢れ、遅延が発生した日はホームに上がる階段が行列で動かないほど。
開発された周辺商業施設も大混雑。夫婦子供、平日休日問わず大量の人人人でとにかく混雑。

武蔵小杉は、そのあたり何もイメージせずデベロッパーが大量供給した結果、
住む上で重要な「快適性」と資産価値上重要な「希少性」を失いました。
「開発!将来性!利便性!タワマン!」で飛びつく消費者が多いから、デベロッパーも容赦しません。
元デベロッパーとして断言します。街のために、最適な供給に絞るなんてしょっぱいことしません。売れれば建てます。(笑)

「今後の開発が見込めること」と「供給過多に陥っていること」は明確に分けて考えるべきです。

ポテンシャル高いけどやはり心配な東京湾岸エリア

では、今後供給過剰が明確にわかっているエリアはどこでしょうか。
東京湾岸エリアです。

皆判を押したように「近年開発が盛んで将来が楽しみな湾岸エリア」などと言っていますが、
もう少し冷静に声上げ、認識を正さないと、デベロッパーに食いつぶされた快適性皆無の街になります。(既になりかけています。)

ここで強調しておきますが、本誌は湾岸エリアが大変にポテンシャル高いエリアだと認識しています。
開放的な環境でありながら都心にも「物理的には」近く(今はその物理的近さを「実際的な」近さにできておらず、残念ながら銀座頼りでしかない)、
開発次第で最高の職住近接エリアになる場所だと思っています。

消費者が正しく「事の重大性」を理解して、消費行動にうつらないと、貪欲な不動産界隈のデベは街づくりなんて意識せずに供給を続けるわけです。
結果、武蔵小杉化するわけです。

本誌は少なくとも、きれいに整備された開放的な街に不快なほど人がたくさん押し込められ、
売りである「都心」に行くために平日休日問わず混雑列車に乗る生活が理想だと思いません。
そういう生活をする人々が灯すタワマンの明かりを、「ベイビュー」として港区山手側から眺められていて嬉しいでしょうか。

そんな未来、誰も望んでないと思います。
マンション選びの重要な観点、「立地」について、今一度考察してみてはいかがでしょうか。

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