学歴と収入の相関~東大、慶大、早大出身者とその他大学の格差~抜粋編

学歴と収入の相関~東大、慶大、早大出身者とその他大学の格差~の抜粋編です。

2017年5月10日付の日経電子版に「「学歴なんて関係ない」の真実 生涯賃金これだけ違う」なる記事が掲載されました。
記事では、「学歴なんて関係ない、は本当か?」という目線で、主に収入を基準に学歴による差をあぶり出しています。

記事では「東京大学」「慶應義塾大学」「早稲田大学」「大卒平均(男性)」について、各セクターの生涯賃金を割り出しています。

その結果が以下です。

※「各大学の卒業生の就職先およびその人数(上位20社まで)と、それらの企業の推計賃金データを基に、大学ごとの「平均的な」収入と生涯賃金を割り出してみた(記事本文より)」とあるので、
 東大早慶については上位層の平均でしょうね。

「東大早慶」と「その他」、実際の格差はさらに大きい

東大、慶應が2強、早稲田が後を追う格好で、平均的な大卒男性の生涯賃金より1億5千万以上収入が高くなっています。
本記事ではこの結果に対して少々補足します。

東大、慶應、早稲田の数値は大幅に平均を引き上げる職業が考慮されていない

東大、慶應、早稲田の生涯賃金推計には「外資系企業、公務員、医師、弁護士」は含んでいません。
これらの職業はまさに東大、慶應、早稲田等の高学歴が独占している職業で、かつ超高給企業です。
また、親の事業を継ぐという観点で、大企業役員の子息が多い高学歴学生もいることから、
さらに「大幅な」一般大卒平均との格差を導くでしょう。

慶應、早稲田の差

慶應義塾大学、早稲田大学間での格差も見て取れます。
記事上の推計値でも慶應と早稲田で5000万円以上の格差がついていますが、格差はこれだけにとどまりません。

上記の通り東大、慶應、早稲田の生涯賃金推計には「外資系企業、公務員、医師、弁護士」は含んでいません。
これらの職業について慶應と早稲田に焦点を当ててみると、
外資系企業のうち超高給である「外資系投資銀行(外銀)」は就職戦線においても東大、京大、慶應の独壇場です。
また、公務員で唯一「超高給」の官僚も旧帝国大学および慶應出身者が多数を占めており、
弁護士や(記事には記載が無いですが)会計士合格者数も早稲田と慶應では慶應が大差で早稲田を引き離しています。

また、慶應には医学部があり、医師になる人間の生涯賃金分も慶應には加わります。
早稲田には医学部がなく、早稲田出身の医者など存在しないのです。

上記は全て人数および比率についても慶應が圧勝しています。
早稲田の学生は5万人、慶應の学生は3万人です。
早稲田の方が2万人多いにも関わらず、外銀、キャリア官僚、医師、弁護士、会計士全てにおいて毎年慶應の方が多く輩出しています。

日経で示されている記事以上に、「早慶格差」は大きいでしょう。

大卒平均には当然東大、慶應、早稲田も含まれている

日経で示されている比較は「東京大学」「慶應義塾大学」「早稲田大学」「大卒平均(男性)」の比較です。
つまり、「大卒平均(男性)」は「東大、早慶以外の大学」ではなく「東大、早慶も含めた」平均なのです。
いわゆる「高学歴大学出身者」の生涯賃金が高いのは感覚的にも実際の日経記事の比較でも示されており、
「東大、早慶およびその他旧帝国大学」と「左記以外の大学」の格差も相当なものであるはずです。

平均値であることの意味

こうした「平均値を元にした比較」をすると、条件反射的に「平均値よりも中央値」という言説を唱える人がいますが、
上記の通り医者/官僚/弁護士/外銀/事業承継等を含めておらず、いわば「平均値を歪めるかけ離れた数値を持つ人」を排除した平均になっているため、
日経で展開されている比較は一定の妥当性があると言えます。

むしろ、上述の通り真の母集団比較したらさらに深刻な格差が出ることでしょう。

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