田端信太郎氏の「2800万円の含み益」を考える。

twitterで話題になっていた田端信太郎氏の「2800万円の含み益」発言を考えてみます。

彼は本当に2800万円の含み益を抱えているのか

まず、含み益の定義をはっきりしましょう。
売値から残債引いたら2800万円になる状態になんの嘘も無いですが、
彼の言葉のニュアンスからして、明らかに彼は「2800万円儲かっている」ような感覚に陥っています。
本当にそうでしょうか。基本的に含み益とは、「費用を投じて得た資産の時価が、投じた費用を上回っている部分」を指します。
1000万の株を買って、現在の時価が1500万円であれば、含み益は500万円です。
例えば、「1500万円がまるまる含み益」とは決して言いません。

田端氏がマンションにかけた費用は?

以上、軽く前提を認識合わせしました。
では田端氏は、このマンションにどれほどのコストをかけたうえで、「現時点で売ったら2800万円が手に入る状態」を実現しているでしょうか。
以下、田端氏のtwitterでの発言をエビデンスとして貼付します。
・2013年のマンション購入時のツイート

・2016年のローン借り換え時のツイート

冒頭の田端氏のツイートと合わせると、田端氏のマンションをめぐる事実は以下です。

・東京五輪前の2013年7月頃に2%で35年借入。
・2016年8月にフラット35に借り換え。期間は約31年。
・マンション価格は7500万円。頭金1割で当初借入は約6700万円。

総支払額の試算

「こまけえことはいいんだよ」という人は以下の枠部分は飛ばしてください。

東京五輪発表前の2013年7月頃に2%で35年借入。
月の返済額は約22万円。
融資事務手数料は約140万円。その他費用で約50万。
マンションにより修繕積立基金は変わるけど、まあ50万として、
なんやかんや頭金と合わせて初期費用1100万円というところでしょうか。

で、2016年8月にフラット35に借り換え。期間は31年くらい。
融資事務手数料で120万ほど。その他費用で約50万。

残債6300万だけどたぶん諸費用の一部入れて6400万くらい借りている。
すると、月の返済額は約20万円。
これで2020年5月現在の残債は約5700万円で、月々約2万返済額が減るという田端氏の言説と合います。

保有期間中の管理費修繕積立金が月々4万円。

田端氏がこれまでに支払った金額は、元本、利息、上記諸費用、管理費修繕積立金、固都税等で3800万円ほど。

今物件を売ると、(査定とはいえ売り主側の言い値ベースで)8500万円。
残債5700万円であるから、田端氏の言う通り、売ったら単純には2800万円の残り。

ここに仲介手数料や諸費用で約300万円かかります。

以上、田端氏は総支払額3800万円で、(2800万円から仲介手数料等引いた)2500万円を得たということになります。
1300万円のコスト負担をしているわけです。

その他考慮事項としては住宅ローン控除ですかね。彼の所得だとどうなんでしょう。ツイート見てると利用していないように見えます。
(利用してても結論は変わりません。明らかにトータルでは手出ししてます。)

これが自宅不動産投資の罠です。
本人の感覚では2800万円「含み益がある」つもりなんです。
一応、大企業の経営側として手腕を発揮しているあの田端氏ですら、この勘違い。

少し田端氏に歩み寄ると、この1300万円を、田端氏がマンションを購入した2013年7月から月割すると約16万円です。
豊洲のタワーマンションに約7年間、月々16万円で住めたということです。
この事実に対して闇クマは否定的な考えを持ちません。
持家購入により住環境の質を賃貸以上に高めるという目線で見れば、彼は一定の効用を得ていると思えるからです。

でも、2013年の底値で豊洲のマンション拾っても、この程度です。
当初7500万円のマンションが8500万円になってもこれです。
今回の想定は田端氏の言葉通り、「買った価格より1000万円高く売った」場合ですが、それよりはやや落として「買った価格と同じ値段で売れた」という(それでも十分ポジティブな)場合を想定したら、
田端氏の総支払額は2300万円となり、豊洲のタワーマンションに約7年間、月々28万円で住んだことになります。
これ、普通の賃貸とほぼ変わらないか、場合によっては少し損なのでは…

自宅購入界隈は当たり前のようにこの含み益伝説を信じていますが、たぶん本人もわかってないんでしょうね。

一方、田端氏はじめ自宅マンションクラスタの「自宅含み益組の勘違い」が「限りなく勘違いではない」状態となる例があります。
自宅不動産投資ではなく、賃貸不動産投資です。
非常に単純化しますが、これまでの議論で、「田端氏は実は売却益を上回る支出を『自分で』していたから、実態は含み益でもなんでもなく、振り返れば賃貸相場よりは安く住宅に住めただけ」ということがわかりました。
賃貸不動産投資、いわゆる普通の不動産投資は、この田端氏が払った部分を入居者がお支払いしてくれてるわけです。
こうやって整理すればなんのことはない単純な議論ですが、とにもかくにも自宅購入界隈はこの点がわかっていないんです。

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