「年収1000万は実収入で800万相当」なわけない②

「年収1000万は実収入で800万相当」なわけない①をまとめると以下のことが言えます。
①収入が高い給与所得者ほど税制面で圧倒的に不利益を被っている。
②理由は給与が低い大多数の層(選挙票数が多い)を締め付ける税制改正はし辛く、「資産家、潤沢な年金収入を得る不労所得の高所得者」は金融所得による収入が多いため実質税率は低い。
従って、「ある程度の年収差であれば可処分所得に差が生じない」、転じて印象的な言い方をすれば、「年収1000万円は実収入で年収800万と同等」という言説は「手取りで見た時には」正しく、今後も「収入が高い給与所得者の可処分所得」は下落する傾向にあるといえます。

しかしながら、「年収1000万円」と「年収800万円」には手取り給与以外にも歴然とした差があります。

これはなにも「年収1000万円」と「年収800万円」に限った話ではなく、やはり年収は多ければ多いほど得です。
一周回って単純な結論に落ち着くわけです。理由を以下にあげます。
①老後の保険受取額が大幅に異なる。
所得が高いほど様々な控除の対象外になったり、そもそもの税制が累進課税のため税金が高く、手取り額を抑えられますが、給与所得者の控除費目のうち、最もその割合が高いのが「年金保険料」です。
年収1000万円の人が、短期的な目線では「少し目線が下に向く年収の人たち」と同じ可処分所得であっても、その裏で積み上げている保険金額が異なっているので、老後の生活が大きく変わります。
厚生年金は収入に応じて定められた保険料を毎月「労使折半で」支払います。
保険料が月額4万円であれば、会社が2万円、給与所得者が2万円を払っているわけです。
「年金崩壊」がささやかれていますが、2017年現在で20代の人でも「自分が払った額の2倍は受け取れる」という試算が厚労省より出ています。
厚生年金は上限はあるものの報酬比例であり、自分が払った額の2倍を受け取れるわけですから、年収が高いほど単純に受取額も増えます。
年収1000万円と年収800万円で手取り額が同じだとしても、「将来に備えて必要な貯蓄」で800万円の人はより多く準備しておく必要があり、年収1000万円と同様に消費ができるわけではないのです。
②信用が違う。
たとえ手取りが同じでも、年収1000万円と年収800万円では「信用力」が違います。
これは人間的な信用の話ではなく、金融業者、不動産業者、その他あらゆる場面の与信で年収に比例した「差」が出てきます。
前回の記事でも「資産家、潤沢な年金収入を得る不労所得の高所得者は金融所得による収入が多いため実質税率は低い。」と記述しましたが、その金融資産を構築するにあたっても年収が高いほど有利になります。
資本主義社会において、金は金持ちの所により多く入りやすくなっています。
以上、税制に着目して多少の年収差の場合に手取りベースで同等だといっても、実際には素直に「年収が高いほうが経済的に豊かであるし、より一層の拡大も望める」わけです。

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