今回は多くの方からご質問いただいたり、巷でもよく議論になっているマンション価格の動向についてです。
結論からいくと、一部の超都心エリアを除いて大きな上昇は見込みにくいと考えます。
※超都心とは、山手線の内側よりも狭い、ごく一部の外国人買いが入るレベルのエリアです。
マンション価格動向のおさらい
使い古されている概観ですが、リーマンショックから2012年頃までのマンション価格の不調から一転、
いわゆるアベノミクスに端を発して現在までマンション価格は上昇を続けています。
特に都心部は顕著で、一部の調査では東京23区中古マンションの70平米換算価格について、2013年が3,950万円に対し現在は5,500万円に上昇しています。
実に40%弱の値上がりです。
マンション価格がさらに上がると言われている根拠は?
このような状況ですが、マンション価格は現状維持、もしくはさらに上がるという論調が「それなりの識者」の一般的な意見です。
具体的には、下記の内容を根拠に下落論をバッサリ切っています。
確かに、マンション価格を容易に下げられない要素は揃っています。
ですが、ここで気付いていただきたいのは、上記の理由はほぼ供給側の論理です。
これまでの価格上昇局面と現在との違い
上記で述べたとおり、「それなりの識者」が言うこれからのマンション価格動向は供給側の論理が並べ立てられています。
本当にこの通りにことが進むのでしょうか。
まず、これまでのマンション価格高騰の要因を改めて考えてみましょう。
これまでは、需要側も上昇についてこれるだけの根拠がありました。
つまり、これまでは供給側の価格上昇圧力についてこれるだけの需要側の要素が存在していたのです。
では今後は?金利はもはやこれ以上の下押しはかなり勇気のいる水準ですし、
これまで40代が中心だったマンション取得層に30代が参入して需要先食いしている点も、苦しい要素でしょう。
2013年からの上昇体験が目を曇らせているのでしょうね。状況の認識が出来ていないように思えます。
用地?人件費?マンション価格に重要な影響を及ぼすのは「金利」です。
そもそもマンション価格に最も影響を与える要素とは何でしょうか。
事業コストの高騰という供給側の論理ではありません。金利です。
かの長嶋修先生も、マンション価格に最も影響を与えるファクターを聞かれた際、「金利」の2文字を返しています。
端的で正しい意見だと考えます。
デベロッパーも金利には逆らえません。
需要層の購入可能額を金利状況を考慮して想定し、値付けします。
闇クマの各種記事をご覧になっていただいた方はおわかりだと思いますが、
金利の動向はマンション価格に統計的に有意に影響します。
例えば、クレヴィア東京八丁堀の価格推計では、
「好況時:6560万円、不況時:5320万円」という推計結果です。
実はこの好況、不況は、ほぼ金利水準として統計分析しています。(他の要素も含んでいますが。)
直近10年のマンション市況の好況時、不況時(≒金利状況)で、これだけ変わってしまうんです。
バブルとか含んでいないですからね。直近10年ですよ。
超都心エリアは供給側の論理が通用する
さて、上述のとおりマンション価格の今後の下支え要因はほぼ供給側の論理なのですが、
この供給側の論理が通用するエリアがあるとすればどこでしょうか。
超都心エリアです。超都心とは、山手線の内側よりも狭い、ごく一部の外国人買いが入るレベルのエリアです。
湾岸も一部を除く世田谷も、港区でさえ一部の低地は含まれない、「ガチの都心」です。
ここはもう、とにかく贅を尽くして良いものを供給すれば、予算制約の無い購入層が買っていきます。
このあたりのエリアについてはほぼ鉄板です。
今までの郊外と東京23区のような広い二極化ではなく、さらに狭い範囲同士での二極化が進むわけです。
これからマンションを購入する方は、良くお考えください。
そして、不動産投資×賃貸の魅力についても、考察してみる価値はあると思います。